みなさんこんにちは、アイリンク国際特許商標事務所の弁理士の井上です。
今日は、商標登録をするときに絶対に失敗しない方法を、5つのポイントに分けて解説していきます。
商標登録って結構お金がかかる手続きなので、確実に、有効な権利を取得したいですよね。
しかし、ネットで調べてもわかりにくい制度なので、困っている方が多くいらっしゃいます。
ただ、当然ですが、これを見ている皆さんが、商標登録の細かい制度を全部理解する必要はありません。
商標登録の目的は、みなさんの大切なブランドを守ることですが、そのために知っておかなくてはならないことは、実は、とても少ないです。
ぜひ、今日この記事で覚えてしまってください。
この記事では、商標登録をする時に失敗しやすいポイントを全て解説した上で、コストパフォーマンスのいい商標登録の仕方を解説します。
なので、高いお金だけかけて、いざという時に役に立たない権利をとってしまうことは無くなると思います。
それに加えて、自分で商標登録する時に重要な、失敗しない商標検索の仕方と、弁理士に依頼するときに重要な、失敗しない弁理士選びの仕方も解説します。
これは、ある意味では、私が、既存のお客様から報酬をいただいてお伝えしていること以上の、ものすごく実践的な内容ですから、もし一度見て覚えられなければ、何度も見ていただければと思います。
この記事を読んでもまだ不安があって、プロに相談したいという方は、私のオンライン個別相談をお申し込みください。
そもそも、失敗しない商標登録とは?
本題に入る前に、そもそも、今回のテーマ「失敗しない商標登録」とは何かを説明したいと思います。
私が考える「失敗しない商標登録」というのは、次の3つを満たす商標登録のことです。
- きちんと商標登録になること
- いざという時にきちんと役に立つこと
- コストパフォーマンスが合うこと
1つ目の「きちんと商標登録になること」というのは、当たり前なので、説明不要ですよね。
次に、2つ目の、「いざという時にきちんと役に立つこと」ですが、これは、最重要ポイントです。
ここで、「いや、井上さん、2つ目も当たり前ですよ。お金をかけて意味のない権利をとっても仕方がないですから。」という声が聞こえてきます。
はい、全くその通りです。
ただ、当たり前のことではありますが、ここではあえて、強調しておきたいと思います。
なぜかというと、「その商標登録が、いざという時にきちんと役に立つのか」は、弁理士ですら判断が難しい、一歩間違えば大失敗しやすいポイントなのですが、そこを気にしないでとりあえず商標登録すればいい、という考え方をする方が多いためです。
弁理士の口からは言いづらいのですが、正直、商標登録というのは、申請して登録するだけならば簡単です。
手続きにちょっと不備があっても特許庁の方が親切に修正の仕方を教えてくれますし、最終的には、類似の商標がなければ、基本、登録になります。
しかし、それがいざという時に役に立つ権利になるかは、別問題です。
とりあえず商標登録して「安心なつもり」になっている状態は、場合によっては、商標登録していない状態より危ないことがあります。
この記事では、そういうことがないように、商標登録の失敗ポイントを徹底的に解説しますので、これを機に、覚えてしまいましょう。
最後、3つ目ですが、「コストパフォーマンスが合うこと」です。
私は、これも非常に重視しています。
ここで、きちんと説明しなくてはいけない点がありまして、このコストパフォーマンスというのは、長い目で見た時のコストパフォーマンス、トータルで見た時のコストパフォーマンスという意味で、10年、20年…と事業をしていく上でのコストパフォーマンスということになります。
業種にもよりますが、ある程度の規模の事業をされている場合、一生涯において、商標登録1件で完璧ということはまずありません。
商品をたくさん出しているメーカー様などは当然、新商品を出すたびに新しい商標が生まれますし、サービス業でも、使っているサービス名が1つだけということは少ないと思います。
1つの商品について見ても、文字商標とロゴ商標があったり、シンボルマークや、キャラクターデザインも商標登録することがあります。
さらに近年は、中小企業であっても、外国での商標登録が必要になる場合があります。
むしろ、今後日本の市場が縮小することを考えると、外国での商標登録の方が重要になることも考えられます。
そうすると、中小企業にとっては、完璧な形で商標登録するような予算などない、というのが大前提となります。
その中で、いかにコストパフォーマンスの良い権利を取得していくのかが、中小企業の知財戦略であり、ブランド戦略といえます。
商標登録の重要さがわかったので、善は急げで、とりあえず、今存在する全ての商標について、文字も、ロゴも、アルファベットもカタカナも、図形も、全てのバリエーションで商標登録しておく…という方針をとる経営者さんも結構います。
善は急げという経営思想は素晴らしいのですが、それによって、その後もっと重要な商標登録が必要になった時とか、外国で商標登録が必要になった時に、これ以上予算をさけない状況になるのは、よくある現象です。
商標登録を失敗しないための5つのポイント
さて、ここからはいよいよ本題に入り、実践的に、商標登録を失敗しない方法を、5つのポイントに分けで説明していきます。
今回解説する5つのポイントは以下のとおりです。
- ポイント1 「商標」の選択を間違わない
- ポイント2 指定商品役務と区分を間違わない
- ポイント3 弁理士への相談の仕方を間違わない
- ポイント4 商標調査の結果の受け止め方を間違わない
- ポイント5 商標検索の仕方を間違わない
ポイント1 「商標」の選択を間違わない
1つ目は、商標登録する「『商標』の選択を間違わない」ことです。
これは、意外に思う方もいるかもしれません。
「え? 商標ってもう決まってるけれど…」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の経験上、「商標登録する商標は、もう決まっています」というスタンスで弁理士のところにご相談に来られるお客様が多いのですが、まずは、最優先で商標登録すべきはどの商標なのか、どの商標にお金をかけるのがコストパフォーマンスが高いのか、もう一度よく考えて見ましょう。
文字とロゴ、どちらで商標登録するのが優先?
「文字商標とロゴ商標、両方とも商標登録した方が良いですか?」というご質問は、本当によくあるご質問です。
まず、前提として重要なことですが、商標登録という制度は、商標、1つずつしか登録することができません。
例えば、文字とロゴ、カタカナとアルファベットなど、いろいろなバリエーションの商標を、1つの商標登録で登録することはできないということです。
そして、それはつまり、1件ずつ、同じだけの費用がかかるということでもあります。
さて、その前提で、文字とロゴ両方商標登録した方が良いかですが、両方登録するのがベストではあります。
予算の都合上どちらか一方を優先するならば、ケースバイケースで非常に難しいのですが、まずは文字商標を優先して登録した方が価値が高いことが多いです。
概ね、8割くらいでしょうか。
その理由は、すごく簡単にいうならば、「使えなくなった時に、より困るのはどちらか」を考えた結果です。
一般的に、ロゴは将来的に変わる可能性がありますが、文字はまず変わりませんので、文字を優先するということです。
ただ、これはあくまで、そういうケースが多いというだけで、実際には、ケースバイケースで考えなくてはなりません。
例えば、ロゴマークに含まれているシンボルマークがすごく有名になってきた場合などは、すぐにでもロゴマークを商標登録することを検討しなければなりません。
他には、ロゴマークを公募で決めたなどの理由で、「絶対にこのロゴマークが使えなくなることがあっては困る」といった場合もあります。
カタカナとアルファベットは両方商標登録する必要がある?
もう少し基本的な話として、カタカナとアルファベット、漢字と平仮名など、色々なバリエーションで商標を使用している場合はどうするか、というお話があります。
これは、結論から言うと、色々なバリエーションがあるとしても、メインで使うもの1つで商標登録すれば十分な場合が多いです。
なぜかというと、商標登録で得られる効果というのは、登録した商標と完全同一の商標だけでなく、類似の商標にも及ぶためです。
例えば、アルファベットのスターバックスと、カタカナのスターバックスなどは、ほぼ間違いなく「類似の範囲」として補完し合えます。
スターバックスほど有名な商標になってくると、念の為両方とも登録するのも良いと思いますが、そうでなければ、メインで使うどちらか一方を商標登録すればOKです。
もう1つ、カタカナとアルファベットで迷った時のポイントですが、もし、将来、外国で商標登録することを視野に入れている場合は、日本でアルファベットで商標登録していることが、役に立つ場合があります。
例えば、国際出願という制度を使う場合は、日本で登録している商標をベースにして、それを世界中に展開するのですが、この時、日本で商標登録しているのがカタカナであれば、これをそのまま外国に展開しても、使いづらいですよね。
その場合、日本で改めてアルファベットで商標登録し直す必要が出てきますから、少し、無駄が生じてしまいます。
商品名と会社名どちらが優先?
例えば、ロッテのようなお菓子メーカーの場合、個々の商品に、独特の商品名をつけていますよね。
これらは、当然、1つずつ商標登録されています。
中小企業のお客様から商標登録のご相談をいただくときも、このように、個々の商品名での商標登録をご相談されることが多いです。
それも重要ですが、まず大元のブランド名を商標登録しなくてもいいのか、という話があります。
大元のブランド名というのは、ロッテの場合、ロッテです。
ロッテという大元のブランド名と、コアラのマーチという商品名、どちらを優先して商標登録すべきかは、もちろんケースバイケースです。
例えば、コアラのマーチという商品が、その会社の主力商品の場合、これが最優先ということも考えられます。
ただ、1つ1つの商品名に全部キャッチーなネーミングをつけて、全部商標登録していくブランド戦略をとるならば、これはなかなか商標登録にお金がかかります。
それよりも、商標登録は「ロッテ」という大元のブランド名だけにして、ここにブランド力を一極集中していく戦略も考えられます。
ポイント2 指定商品役務と区分を間違わない
商標登録を失敗しないためのポイント2つ目は、指定商品役務と、区分を間違わないことです。
商標登録は、「商標」と、「その商標をなんの業種に使いますか?」 という業種、この2つをセットで登録します。
この、「何の業種に使いますか?」 という部分を、「指定商品役務」といいます。そして、この指定商品役務は、全部で45区分に分かれています。
ここで、重要なことが二つあります。
- 商標登録の効力は指定商品役務の範囲ないにしか及ばない
- 商標登録の費用は区分数により増加する
順番に解説します。
商標登録の効力は指定商品役務の範囲ないにしか及ばない
1つめは、商標登録の効力は、この、指定商品役務として記載した商品やサービスにしか及ばないということです。
厳密には、指定商品役務とドンピシャでなくてもいいのですが、その類似の範囲までしか、商標登録の効力は及びません。
商標登録の費用は区分数により増加する
次に重要なこととして、商標登録の費用は、区分数によって変わります。
なので、幅広く指定商品役務のラインナップを増やしたいのは山々なのですが、これをあまりに広くすると、区分数が増えて、費用が増えていくということになります。
1つ例を挙げてみてみましょう。
これは、みなさんご存知、シャネルの登録商標(登録 第5848465号)の1つです。
今回、この商標が、アパレルブランドではよくある区分を選択していたので、例に挙げました。
ここで、左側に、14、18、25と書いてある数字が、区分です。
シャネル社は、「第14類のジュエリーなど、第18類のバッグなど、25類の衣類などについて、このGIRL CHANELという商標を独占することが認められている」ということになります。
ここで、3区分となると、特許庁に収める印紙代だけでもそれなりの金額になります。
10年登録の場合、1区分増えるごとに印紙代が4万円ぐらいずつ増えますので、このシャネル社の商標登録の仕方だと、印紙代だけで13万円程度かかることになります。
もちろん、弁理士に依頼する場合、それに加えて弁理士の手数料がかかります。
ですから、費用対効果を考えて、区分をどこまで広げるのか考えるのは重要なことです。
削ってもいい区分と、削ってはいけない区分
ただし、ここでみなさんに絶対覚えておいて欲しいことは、予算の都合で削ってもいい区分と、削ってはいけない区分というものがあるということです。
例えば、このシャネル社の事例で考えてみましょう。
もし、「GIRL CHANELという商標をとりあえず25類の衣類と18類のバッグに使うことは決定」だが、「14類のジュエリーやアクセサリーに使うかは、まあ今後の展開次第です」という場合は、予算の関係で14類を後回しにすることはあり得ると思います。
もし、その間、誰かに先に14類を取られてしまったら、シャネル社はGIRL CHANELという商標を使ってジュエリーやアクセサリーを販売できないわけですが、それならそれで、ジュエリーなどは別のブランド名で販売するという方法もありますので、ダメージとしてはそこまで致命的なものにはならないためです。
一方で、こちらのスターバックスの商標(登録 第5452171号)を見てみましょう。
こちらは、ざっくりいうと、第43類の飲食物の提供と、第35類の飲食物の小売について商標登録されています。
これは一見似ていますが商標登録的には全く違うもので、簡単にいうと、「43類はイートインで飲み物などを提供するサービス」で、「35類はテイクアウト用に飲み物や食べ物を販売する」サービスです。
このケースにおいて、もし、予算の都合で、とりあえず43類だけ商標登録した結果、誰かに35類を取られてしまったらどうなるでしょうか。
この場合、この商標は、イートインには使えるが、テイクアウトのシーンでは使えないことになります。
しかし、みなさんご存知のように、スターバックスは、イートインとテイクアウトを同じ店舗でやっていますよね。
そうすると、どちらか一方だけに商標を使うということは、極めて難しいです。
このように、1つの区分を誰かに取られてしまうことで、事業全体でその商標が使えなくなるシチュエーションとして、以下のようなものがあります。
- ジャズバー…41類の音楽の演奏と、43類の飲食物の提供と、両方に商標が使えなければ意味がありません。
- グラフィックデザイナー…35類の広告物のデザインと、42類の広告物以外のデザイン、両方に商標が使えなければ意味がありません。
- 建設会社…37類の建築と、42類の設計、両方に商標が使えなければ意味がありません。
このように、区分の選択を妥協することによって、商標登録が全く意味のないものになってしまうことがあります。
もし、予算に限りがある場合は、区分を減らすよりも、ロゴ商標と文字商標など、商標のバリエーションを減らす方が安全な場合も多いので、その点はよく覚えておきましょう。
ポイント3 弁理士への相談の仕方を間違わない
次に、商標登録をプロに依頼したい場合に、失敗しない相談の仕方を解説します。
ここまで、「商標の選択を間違わない」、「指定商品役務の選択を間違わない」など、失敗しやすいポイントをお伝えしてきましたが、ある意味、こういったことは、本来、弁理士がなんとかすべきことなんですよね。
ただ、腕が良くて、経験豊富な弁理士であっても、お客さんからの相談のしかた次第では、あまり良い結果に導くことができない場合があります。
商標や区分をキッパリと指定しない
弁理士に相談するときに、損をしがちな相談の仕方の例を挙げると、このような感じです。
この度、会社のロゴマークを作りましたので、商標登録を希望します。
第◯類、第◯類、第◯類の3区分で商標登録をお願いします。
当方で特許庁のデータベースで検索し、かぶる商標がないことは確認しております。
費用を知りたいので、お見積もりをお願いします。
「え? すごくちゃんとした相談の仕方で、むしろとても良さそうだけれど?」と思う方もいるかもしれません。
この相談の仕方でなぜ失敗しやすいかというと、ここまでキッパリと条件を指定された場合、弁理士は、あえてアドバイスを最小限に控えてしまうためです。
弁理士のクライアントは従来大手企業が多いですので、自社で商標戦略を検討できるクライアント様も多いんですね。
そういう会社さんに余計な口出しをすると、逆に面倒臭がられて成約しなくなることがあります。
なので、弁理士は、「このロゴ商標を第何類と何類で!」 といった感じでキッパリと言われると、「うーん、ロゴより文字の方を先に商標登録した方が良いのではないか」とか、「第何類は必要ないのではないか。
むしろ、第何類を入れた方がいいのではないか」とか、色々思うことがあったとしても、「まあ、お客様がそういうのだから、余計なことは言わない方がいいよね」と思って、アドバイスを控えてしまうんですね。
費用だけ聞きたいように見える
さて、この相談の文章をもう一度見ていただきたいのですが、弁理士の本音をお伝えしますと、この文章では締めくくりを「お見積もりをお願いします」としている点も、「損しているな」と思うポイントです。
なぜかというと、こうすると、「じゃあ、費用だけお伝えしますね」となるからなんですね。
これもまた、「余計なアドバイスはしないでおこう」というモードに入ってしまう原因になります。
もちろん、もし、自社で大体のことはできる能力のある会社さんが、「本当に費用だけ知りたい」という場合はこの相談の仕方で100点満点なのですが、「できれば、一から相談に乗って欲しい」という場合は、ストレートにそのように記載する方が、メリットが大きいと思います。
特に、区分の選定は、初めから第何類と伝えるよりも、弁理士に自社の商品やサービスを細かく説明する方が、間違いは起こりづらいかなと思います。
ポイント4 商標調査の結果の受け止め方を間違わない
弁理士に商標登録の相談をしたときには、まず、商標調査をすると思います。
商標調査というのは、皆さんが商標登録したい商標が、本当に登録になるのか、審査でNGと言われないのかを調査することです。
事務所によって無料か有料か違いはありますが、多くの事務所では、A判定、B判定、C判定、D判定とか、登録になる可能性〇〇%といった形で、調査結果を報告すると思います。
このとき、日本の商標登録の審査基準はかなり厳しめですので、それに則って考えると、A判定以外になることも、多々あります。
例えば、C判定、登録になる可能性60%のような場合です。
弁理士に「それではどうするのがおすすめか?」を聞く
私の経験上、弁理士の商標調査でこのような微妙な判定結果を出された時に、非常に困ってしまうお客さんは多いです。
皆さんにぜひ覚えておいて欲しいのは、このときに、必ず弁理士に、「それではどうするのがおすすめですか?」と相談して欲しいということです。
無料相談ができる弁理士であれば迷わず相談して欲しいですし、仮に、相談料が有料だとしても、相談した方がいいと思います。
弁理士は、得てして、クライアントの経営判断に余計な口出しはしないでおこうと思いがちですので、逆にそこは突っ込んで質問するようにしてください。
このような、微妙な調査結果の場合、選択肢は、概ね3つしかありません。
- 60%でもチャレンジする
- 商標を変えて出願する
- 商標登録は諦めるが、商標は変えないで使い続ける
同じC判定でも、ケースバイケースで、状況は全く異なります。
例えば、御社がすでに何年も使っている社名を商標登録したい場合に、C判定だったからといって、商標登録をやめるということは、あまり考えられません。
なぜならば、じゃあ社名を変えます、ということは難しいためです。
とはいえ、他人の登録商標と類似しているかもしれないという状態で、社名を今後もずっと使い続けていくのは、リスクでしかありません。
したがって、この場合は、1を選択するケースが多いと思います。
一方、新しく1年後にリリースする商品名の場合、C判定の商標にこだわる必要はありません。この場合、2を選択することが多いと思います。
最終的に決着がつくまでのスケジュールを把握する
そしてもう一点、非常に重要なのは、最終的に決着がつくまでの期間です。
これは、必ず弁理士に質問してください。
例えば、通常審査で商標申請して、10ヶ月後に審査結果NGの通知が届いたとします。
これに、意見書で反論する場合、次の審査結果が届くのは、半年後とか、長ければ1年後とかになる場合があります。
そこまでしてC判定の商標にこだわるのかは、完全にケースバイケースですよね。
なので、商標調査の判定が微妙なときは、「今回のケースではどうするのがおすすめか」を、少ししつこいくらい弁理士に質問することをお勧めします。
ポイント5 商標検索の仕方を間違わない
商標登録を失敗しないための5つのポイント、最後の1つは、「商標検索の仕方を間違わない」です。
これは、特に、自分で商標登録する方にとって重要なポイントとなりますが、弁理士に商標登録を依頼する方にとっても、ネーミングを決める際にいちいち弁理士に調査を依頼せずに済めば仕事がスムーズですので、重要な知識になります。
商標検索は、「称呼」で検索する
商標検索は、J-PlatPatという特許庁のデータベースで検索します。
これは、誰でも無料で使えるもので、我々プロも使っています。
これが、J-PlatPatの商標検索のページです。
このとき、多くの方が失敗しやすいポイントがあります。
それは、「商標登録したい商標を、そのまま「商標(検索用)」の検索窓に入れて検索している」ということです。
これだと、ほぼ、入力した文字と完全一致の商標しか検出されませんから、多くの場合ゼロ件から、せいぜい数件ヒットする程度になってしまいます。
では、どうすればいいかというと、称呼で検索をします。
ここで、称呼検索に、2種類あるのがわかると思います。
1つめは、称呼(単純文字列検索)。これは、単に読み方で検索するものです。
もう1つ、称呼(類似検索)というものがあります。
これは、いわゆる曖昧検索で、一文字違いや、部分一致まで広く調べてくれます。
類似検索は、漏れなく調べるのにとても優秀ですが、逆にいうと広くヒットしすぎて困る場合もあるので、まずは、称呼(単純文字列)検索を使ってみてください。
例えば、次のような商標を検索したい場合を想定してみましょう。
この場合、この商標をそのまま商標(検索用)の検索窓に入れるのではなく、読み方をカタカナにして、「称呼(単純文字列検索)」の検索窓に入れます。
- アイリンク→アイリンク
- STARBUCKS→スターバックス
- 無印 → ムジルシ・ムイン
また、商標によっては、明らかに、二つに分離されるものってありますよね。
例えば、アイリンク国際特許商標事務所、スターバックスコーヒー、GoogleMapなど。
- アイリンク国際特許商標事務所→アイリンク
- STARBUCKS COFEE→スターバックス
- GoogleMap→グーグル
こういう場合は、「アイリンク?、スターバックス?、グーグル?」といった、形で、半角クエスションマークをつけて部分一致検索をすると、かなりもれなく商標調査をすることができます。
一般的な言葉ではないかを調べる
そして、もう1つ。
商標登録という制度は、一般的な言葉は登録することができません。
なので、もし、自分の使おうとしている商標が、やや一般的な言葉に見える場合は、Google検索を使って、自分の使おうとしている言葉が、どれくらい一般的に使われているのかを調べてみましょう。
例えば、パソコンインストラクターという言葉をGoogleで調べてみましょう。
このとき、ダブルクオーテーションマークを使い、完全一致検索にすると、便利です。
こうやって調べてみると、パソコンインストラクターという言葉は、理屈はともかく、現実として、かなり多くの人に使われていることがわかります。
そうすると、「商標登録できない可能性が多いのかな」という推測が立ちます。
この記事を動画で見たい方はYoutubeでも解説しています!
まとめ
商標登録を失敗しないための重要ポイント5つの振り返りになります。
- ポイント1「商標」の選択を間違わない
-
ロゴ、文字、アルファベット、カタカナ、大元のブランド名と個々の商品名など。
どれで商標登録するのが最優先か、考えましょう。特に、事業初期段階では、ロゴ商標よりは文字商標が優先の場合が多いです。
- ポイント2 指定商品役務と区分の選択を間違わない。
-
ここを甘くみると、本当に全く意味のない商標登録になってしまいます。
- ポイント3 弁理士への相談の仕方を間違わない
-
弁理士は、クライアントの経営判断に余計な口出しはしないスタンスの方も多いので、積極的にアドバイスを求めましょう。
- ポイント4 調査結果の受け止め方を間違わない
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調査結果がC判定など微妙だった時に取るべき行動は、その商標を使っている状況などで全く変わってきます。これも、積極的に専門家に相談すべきポイントです。
- ポイント5 商標検索の仕方を間違わない
-
商標検索は、登録したい商標をそのまま検索窓に入れるのではなく、「称呼」で検索します。
これをするだけで、圧倒的に調査の精度が上がります
今日の記事はここまでになります。
アイリンク国際特許商標事務所のホームページでは、特許、商標、著作権などの知的財産権について、ビジネス上必要な知識だけを厳選して掲載しています。
ぜひ、他の記事もご覧ください。
また、もっと具体的に相談したい方は、お問い合わせフォームから、私のオンライン個別相談をお申し込みください。