近年、生成AIの急速な進化に伴い、生成AIに文章を生成させるだけでなく、専門知識と組み合わせた生成を行うサービスも登場しています。
これにより、専門分野に通じたアドバイスという新たな価値が生まれています。
このようなサービスは、医療、教育、法律、金融などの専門的なサービスから身近な占いなどのサービスまでさまざまな分野で展開されており、皆様も目にすることが多いでしょう。
このような製品やサービスの増加に伴い、特許の出願も増えてきています。
この記事を読んでいる皆様の中には「うちの生成AIを使ったサービスも特許になるかもしれない」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
生成AIを利用して専門分野のアドバイスを行う製品やサービスを扱う企業は、専門分野には通じているものの、これまで特許とあまり関わりがないケースが多くみられます。
特許に慣れていない企業が特許の申請(出願)をし、特許になるかどうかの判断(審査)を受け、特許を成立させるのはとても大変です。
そもそも、特許に慣れていない企業が「どのような技術(発明)であれば、生成AIに関する特許として認められるのか」と判断することは非常に難しいと言えるでしょう。
そこで、今回は、仏教経典や煩悩データベースあるいは瞑想データベースと生成AIを組み合わせてメンタル改善支援を行う株式会社テラバースの特許第7772446号「メンタル改善支援装置、メンタル改善支援方法、及び、メンタル改善支援プログラム」をわかりやすく解説します。
特許第7772446号の要約

今回解説する特許第7772446号は、「メンタル改善支援装置、メンタル改善支援方法、およびプログラム」に関する特許です。
本特許の請求の範囲(請求項)には、メンタル改善支援装置の他、メンタル改善支援装置を基に、このメンタル改善支援装置を実行する具体的なメンタル改善支援方法およびプログラムが記載されています。
ここでは、メンタル改善支援装置の基本部分(請求項1)を要約します。
特徴は以下の通りです。
- ユーザのコメント(悩み・感情表現)を入力として受け付ける
- 生成AIが仏教経典データベースから助言情報を取得する(生成し)
- 生成AIが煩悩データベースから該当する煩悩情報を取得する(生成し)
- 生成AIが両情報を統合して支援情報を生成する
- 生成結果をユーザ端末へ出力する
簡単にいうと、「ユーザの心理状態」×「仏教経典」×「煩悩分類」×「生成AI」とこれらを組み合わせてメンタルを改善する支援情報を生成する技術です。
生成AIに単に文章生成させるのではなく、生成AIを宗教知識のデータベースと連携させて支援情報を生成している点に技術的な特徴があります。
請求項1〜2の解説
特許第7772446号の請求項を見てみましょう。
この特許には、【請求項1】~【請求項9】と全部で9つの請求項があります。
そのうち、【請求項1】~【請求項6】がメンタル改善支援装置に関する請求項、【請求項7】~【請求項8】がメンタル改善支援方法、【請求項9】がメンタル改善支援プログラムに関する請求項です。
ここでは、【請求項1】~【請求項6】の内、【請求項1】~【請求項2】の本特許の根幹となる請求項を見ていきます。
【請求項1】
処理部を備え、前記処理部は、
ユーザのコメントを受け付け、
生成AIに、仏教経典の内容を記憶する仏教経典データベースから前記コメントに対応する仏教的助言を取得させ、
前記生成AIに、前記仏教経典に基づいて生成された煩悩を記憶する煩悩データベースから前記コメントに対応する煩悩を取得させ、
前記生成AIに、前記取得された仏教的助言の内容及び前記取得された煩悩を含む支援情報を生成させ、
前記生成された支援情報をユーザ端末に出力する、メンタル改善支援装置。
【請求項2】
処理部を備え、前記処理部は、
ユーザのコメントを受け付け、
生成AIに、仏教経典の内容を記憶する仏教経典データベースから前記コメントに対応する仏教的助言を取得させ、
前記生成AIに、記仏教経典に基づいて生成された瞑想方法を記憶する瞑想データベースから前記コメントに対応する瞑想方法を取得させ、
前記生成AIに、前記取得された仏教的助言の内容及び前記取得した瞑想方法を含む支援情報を生成させ、
前記生成された支援情報をユーザ端末に出力する、メンタル改善支援装置。
こうしてみると、少し難しい印象ですね。
分割してみていきましょう。
請求項1は「メンタル改善支援装置」に関する発明です。
請求項1では、処理部が以下のような各処理を実行しています。
- ユーザからのコメントを受け付ける
- ユーザのコメントに対して、生成AIが仏教経典に基づいた助言を取得する
- ユーザのコメントに対して、生成AIが煩悩情報を取得する
- 生成AIにより、取得した助言と煩悩をまとめた支援情報を生成する
- ユーザに支援情報を出力する(提供する)
請求項1で重要なのは、「生成AIが単にユーザのコメントに回答する」だけではなく、以下の2つの専門知識ベースを参照して回答する点です。
- 経典データベース
- 煩悩データベース
そして、これらデータベースが、いずれも、実際の仏教経典を参考に形成されている点です。
請求項2も「メンタル改善支援装置」に関する発明です。
請求項2では、処理部が以下のような各処理を実行しています。
- ユーザからのコメントを受け付ける
- ユーザのコメントに対して、生成AIが仏教経典に基づいた助言を取得する
- ユーザのコメントに対して、生成AIが瞑想方法を取得する
- 生成AIにより、取得した助言と瞑想方法をまとめた支援情報を生成する
- ユーザに支援情報を出力する(提供する)
請求項2でも、重要なのは、「生成AIが単にユーザのコメントに回答する」だけではなく、以下の2つの専門知識ベースを参照して回答する点です。
- 経典データベース
- 瞑想データベース
そして、これらデータベースが、いずれも、実際の仏教経典を参考に形成されている点です。
請求項1および請求項2のどちらも専門的なデータベース(経典データベース・煩悩データベース・瞑想データベース)を参照して、生成AIが回答を生成していることが特徴です。
なお、請求項1では、ユーザに出力する支援情報に含まれるのが、煩悩に関する情報になっているのに対して、請求項2では、ユーザに出力する支援情報に含まれるのが、瞑想方法に関する情報になっている点が異なっています。
請求項1〜2が解決しようとしている課題
請求項1〜2が共通して解決しようとしている課題は、「ユーザの心理状態に寄り添ったメンタル改善支援情報を提供すること」です。
従来のメンタル改善方法を提案するシステムでは、改善方法を決定する方法が明確とはいえませんでした。
また、実際にユーザの現在のメンタル状態に合った適切な改善方法を決定することは容易ではありません。
これに基づいて考えられる具体的な課題には以下のようなものがあります。
- 汎用チャットAIではメンタル改善支援の根拠が曖昧である
- テンプレート型助言では個別性が低い
- 体系的知識に基づいたメンタル改善支援がなかった
本特許では、これらの課題を解決しています。
つまり、生成AIがもつ臨機応変な文章作成能力を活用し、実際の仏教経典の考えを根拠として、メンタルの改善改善に関する情報を提供を行うことで課題を解決しています。
請求項1〜2の構成要素の詳細
明細書も踏まえて、各構成をより詳しく解説します。
請求項1〜2のメンタル改善支援装置に共通する構成要素は、大きく次の5つです。
- ユーザからのコメントを受け付ける
- ユーザのコメントに対して、生成AIが仏教経典に基づいた助言を取得する
- ユーザのコメントに対して、生成AIが煩悩情報または瞑想方法を取得する
- 生成AIにより、取得した助言と、煩悩情報または瞑想方法瞑想方法とをまとめた支援情報を生成する
- ユーザに支援情報を出力する
請求項1では「煩悩情報を取得する」、請求項2では「瞑想方法を取得する」を構成要素としています。
各構成要素について解説します。
ユーザからのコメントを受け付ける
明細書の詳細な説明の中の【発明を実施するための形態】を参照すると、メンタル改善支援システムの中のメンタル改善支援サーバが、ユーザ端末から入力されたコメントを受け付けています。
ユーザ端末としては、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末のような情報処理端末が例示されています。
なお、コメントは、ユーザの自然言語での入力が可能で、感情表現や悩みの文章が対象です。
ユーザのコメントに対して、生成AIが仏教経典に基づいた助言を取得する
明細書によれば、メンタル改善支援システムの中の生成AIが、仏教経典データベースを内蔵する仏教経典データベースサーバを使用して仏教経典に基づいた助言を取得しています。
まず、ユーザ端末からコメントが入力されると、メンタル改善支援サーバがコメントを受け付け、仏教経典に基づいた助言を取得するためのプロンプトが生成され、そのプロンプトが生成AIに出力されます。
続いて、生成AIが、そのプロンプトを基に、仏教経典データベースサーバにアクセスしてユーザのコメントに関連する教えを取得する手順です。
コメントに関連する教えを抽出する際、単なる全文検索ではなく、関連性判定や意味解析が前提となります。
ユーザのコメントに対して、生成AIが煩悩情報または瞑想方法を取得する
明細書によれば、メンタル改善支援システムの中の生成AIが、煩悩データベースまたは瞑想データベースを使用して煩悩情報または瞑想方法を取得しています。
まず、ユーザ端末からコメントが入力されると、メンタル改善支援サーバがコメントを受け付け、煩悩情報または瞑想方法を取得するためのプロンプトが生成され、そのプロンプトが生成AIに出力されます。
続いて、生成AIが、そのプロンプトを基に、煩悩データベースまたは瞑想データベースにアクセスしてユーザのコメントに合わせた回答を取得する手順です。
ここで、煩悩データベースでは、感情テキストと仏教経典に基づいて生成された煩悩とを互いに関連付けて記憶しています。
感情テキストとしては、「ニコニコ」や「イライラ」など感情を表す感情オノマトペが例示されています。
煩悩データベースが、この感情に一番近い悩みの原因となる煩悩(例:貪・瞋・痴など)を特定してユーザの感情を仏教における煩悩に落とし込むのが特徴です。
瞑想データベースは、煩悩と仏教経典に基づいて生成された瞑想方法とを互いに関連付けて記憶しています。
ユーザの感情を仏教における煩悩に分類することが特徴で、煩悩に合わせた瞑想方法を提案するのが特徴です。
生成AIにより、取得した助言と、煩悩情報または瞑想方法瞑想方法とをまとめた支援情報を生成する
続いて、生成AIが「仏教経典に基づいた助言」と「煩悩情報または瞑想方法」に基づいて支援情報を生成します。
これをメンタル支援サーバから出力できる状態にします。
生成AIを利用することで、自然な文章の生成が可能なだけでなく、各ユーザに合わせた表現を用いたメンタル改善支援情報の提供が可能です。
また、本特許においては、仏教の教えという体系的知識に基づいた根拠が明確なメンタル改善支援情報を提供できます。
ユーザに支援情報を出力する
最後にメンタル支援サーバからユーザ端末に支援情報を出力して処理は完了です。
請求項1〜2における生成AIの役割
本特許における生成AIの役割は「文章生成」だけではありません。
請求項1および請求項2にあるように、生成AIが、仏教経典データベースや煩悩データベースおよび瞑想データベースにアクセスして自ら検索し、「知識を統合して文章を作成している」のが特徴です。
生成AIが自らの学習データのみで回答するのではなく、外部データを用いて生成するという点がこの特許の特徴です。
明細書の詳細な説明の中の【発明を実施するための形態】にもRAG(Retrieval Augmented Generation・検索拡張生成)の記載があり、重要視している構成といえるでしょう。
本願が特許になるまで(審査経過)
この特許第7772446号(特願2025-159276)は審査時に1回拒絶理由通知(特許にできない理由を通知する書類)を受け、請求項を修正し(補正書を作成・提出し)、意見を述べ(意見書を提出)ています。
なお、生成AI関連発明では、以下のような点が問題となるケースが多く見られます。
- 抽象的思想にすぎないのではないか
- 単なる情報提示ではないか
- 進歩性がないのではないか
続いて、本特許における審査経過を順番に解説します。
1回目の拒絶理由通知
この特許の元になった出願時の請求項1・請求項2は次の通りです。
【請求項1】
処理部を備え、前記処理部は、
ユーザのコメントを受け付け、
生成AIに、仏教経典の内容を記憶する仏教経典データベースから前記コメントに対応
する仏教的助言を取得させ、
前記生成AIに、前記取得された仏教的助言の内容を含む支援情報を生成させ、
前記生成された支援情報をユーザ端末に出力する、メンタル改善支援装置。
【請求項2】
前記仏教経典データベースは、前記仏教経典に基づいて生成された複数の質問をそれぞ
れベクトル化した複数の質問ベクトルと、前記複数の質問にそれぞれ対応する、前記仏教
経典に基づいて生成された複数の回答と、を記憶し、
前記生成AIは、前記仏教経典データベースから、前記コメントをベクトル化したコメ
ントベクトルに関連する質問ベクトルに対応する回答を前記仏教的助言として取得する、
請求項1に記載のメンタル改善支援装置。
これに対する1回目の請求項1に対する拒絶理由通知は、「進歩性」です。
「この分野の通常の知識を有する人(当業者)であれば、引用文献から容易に発明をすることができた」という理由で特許にできないと判断されました。
そこで、請求項1を以下のように補正しました。
【請求項1】
処理部を備え、前記処理部は、
ユーザのコメントを受け付け、
生成AIに、仏教経典の内容を記憶する仏教経典データベースから前記コメントに対応する仏教的助言を取得させ、
前記生成AIに、前記仏教経典に基づいて生成された煩悩を記憶する煩悩データベースから前記コメントに対応する煩悩を取得させ、
前記生成AIに、前記取得された仏教的助言の内容及び前記取得された煩悩を含む支援情報を生成させ、
前記生成された支援情報をユーザ端末に出力する、メンタル改善支援装置。
【請求項2】
処理部を備え、前記処理部は、
ユーザのコメントを受け付け、
生成AIに、仏教経典の内容を記憶する仏教経典データベースから前記コメントに対応する仏教的助言を取得させ、
前記生成AIに、記仏教経典に基づいて生成された瞑想方法を記憶する瞑想データベースから前記コメントに対応する瞑想方法を取得させ、
前記生成AIに、前記取得された仏教的助言の内容及び前記取得した瞑想方法を含む支援情報を生成させ、
前記生成された支援情報をユーザ端末に出力する、メンタル改善支援装置。
請求項1に関しては、補正で、下線部分の「前記生成AIに、前記仏教経典に基づいて生成された煩悩を記憶する煩悩データベースから前記コメントに対応する煩悩を取得させ、」「及び前記取得された煩悩を含む支援情報を生成させ、」を追記しています。
この補正後の請求項1は、出願時の請求項3と実質的に同一であり(いわゆる、請求項3に係る発明であり)、請求項3には拒絶理由が示されていませんでした。
そのことから、出願人は、「拒絶理由は解消された」と意見書で主張しています。
また、請求項2に関しては、新たに作成された請求項になっており、出願時の請求項1の特徴に、下線部分として示すように「前記生成AIに、前記仏教経典に基づいて生成された瞑想方法を記憶する瞑想データベースから前記コメントに対応する瞑想方法を取得させ、」「及び前記取得した瞑想方法を含む支援情報を生成させ、」を追記しています。
この補正後の請求項1は、出願時の請求項4と実質的に同一であり(いわゆる、請求項4に係る発明であり)、請求項4には拒絶理由が示されていませんでした。
そのことから、出願人は、請求項1を請求項3,4の構成に限定したことで「拒絶理由は解消された」と意見書で主張しています。
この審査経過で分かること
出願時の請求項1では仏教経典データベースを利用した仏教の教えに基づいたメンタル改善支援情報を生成するとしています。
しかしながら、従来の技術に仏教の教えに基づいてアドバイスをするという類似した内容の刊行物があったために拒絶理由通知がなされました。
さらには、データベースの仏典のデータ構造は先ほどの刊行物の内容と他の特許技術を組み合わせれば容易に発明をすることができたとされました。
そこで、拒絶理由通知に挙げられた刊行物には記載されていない「煩悩データベース」(出願時の請求項3の構成)あるいは「瞑想データベース」(出願時の請求項4の構成)と、元々請求項1に含んでいた「仏教経典データベース」を組み合わせることを前提とし、刊行物との違いを主張して、無事特許を取得しました。
以下は、個人的な所見です。
本特許の明細書の図7によれば、「煩悩データベース」からの情報と「仏教経典データベース」からの助言と「瞑想データベース」からの情報を組み合わせて、生成AIが支援情報を生成しています。
この構造から、「瞑想データベース」の煩悩は「煩悩データベース」から得られた煩悩情報を利用していると考えられます。
今回は「仏教経典データベース」と「煩悩データベース」あるいは「仏教経典データベース」と「瞑想データベース」を組み合わせることで拒絶理由通知が解消したため、問題ありません。
しかし、万全を期すなら「瞑想データベース」の煩悩は「煩悩データベース」から得られた煩悩情報を利用していることを実施例の一つとして挙げておけば、2つを組み合わせたものが拒絶されても更に限定できるため、よかったと考えます。
この発明から見える生成AIを活用した発明のコツ

この特許から読み取れる実務的ポイントは以下の通りです。
- 生成AIが単体の能力だけで文章生成するのでは特許は弱い
- 生成AIによる処理を明示する
順番に解説します。
1. 生成AIが単体の能力だけで文章生成するのでは特許は弱い
「生成AIで助言する」だけでは抽象的であり、抽象的なままでは特許性が認められにくい傾向があります。
本特許では、生成AIが「経典データベース」と「煩悩データベース」または「瞑想データベース」という外部の情報を検索してこれらの情報を統合して文章を生成し、メンタル改善支援情報を生成しています。
用いる情報を具体的にしたことで特許になったといえるでしょう。
2.生成AIによる処理を明示する
本特許では、生成AIを含むメンタル改善支援装置の処理部の中で行われている処理を具体的に記載しています。
ユーザ情報の受信から結果の出力を全て生成AIに任せてブラックボックス化してしまうと、特許にはならないでしょう。
本特許では、生成AIに文章を生成させる前後の処理などを明記したことが特許になった大きな要因です。
この発明を応用したAI活用発明の例
本特許の考え方は、メンタルに関する支援情報生成以外の分野にも応用可能です。
法律相談支援AI
法令データベース・判例の分類機能・生成AIを組み合わせた法律相談支援AIが挙げられます。
仕組みはとてもシンプルです。
- 相談内容に関係する条文を、法令データベース(例:e-Gov法令検索)から探す
- 似た事案の判例を、争点ごとに分類されたデータの中から見つける
- それらをもとに、ChatGPTのような生成AIが分かりやすい文章で説明する
つまり、条文を調べて、似た裁判例を探し、わかりやすくまとめるAIというイメージです。
一般論だけを答えるAIと違い、条文や判例を根拠にした具体的な説明ができる点が特徴です。
法律事務所の初期相談、企業の法務チェック、自治体の相談窓口などで活用できます。
医療ガイドAI
診療ガイドライン・症状分類機能・生成AIを組み合わせた医療ガイドAIも考えられます。
流れは非常にシンプルです。
- 相談内容に関連する診療ガイドライン(例:日本循環器学会などの学会ガイドライン)を参照する
- 入力された症状を分類し、考えられる疾患や重症度の方向性を整理する
- それらをもとに、ChatGPTのような生成AIが分かりやすく説明する
つまり、「 標準的な医療指針を確認し」「 症状を整理し」「 わかりやすくまとめるAI」というイメージです。
一般的な医療知識だけで答えるAIと違い、公的・学会ガイドラインに基づいた情報整理ができる点が特徴です。
主な用途としては、以下のようなものが考えられます。
- オンライン問診の補助
- 医療機関の説明支援ツール
- 患者向け情報提供サポート
※本システムは医師の診断を代替するものではなく、情報整理や理解支援を目的とするものです。
このほか、教育支援AIや経営哲学支援AIも考えられ、いずれも「専門知識体系 × 分類構造 × 生成AI」という三位一体構造が特徴です。
まとめ

特許第7772446号は、「仏教経典に基づいた助言」と「煩悩情報または瞑想方法」に基づいて支援情報を生成するメンタル改善支援装置・メンタル改善支援方法およびメンタル改善支援プログラムに関する特許です。
本特許は、生成AI特許では「生成AIが単体の能力だけで文章生成するのでは特許は弱い」「生成AIによる処理を明示する」という2点が重要であることを示す好例といえます。
今後の生成AI特許戦略では、「何を生成するか」よりも 「どの知識データと生成AIを統合するか」が鍵になります。
本特許は、その方向性を明確に示した先進的事例といえるでしょう。
生成AIを活用したサービスをお持ちの方は、「そのAIは何の知識体系と結びついているか?」「分類構造は明確か?」「処理フローは説明できるか?」を一度整理してみてください。
特許のタネがあるかもしれません。
とはいえ、生成AIの技術はまだ新しい技術です。
前例が少ない分野ですので、「この技術は発明なのか?」「これを出願(申請)したら特許になる可能性はあるのか?」と疑問をお持ちの方、ご自分で判断するのは難しいと思います。
前例が少ない生成AIの技術こそ、出願前に弁理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

