ビジネスモデル特許とは|ビジネスモデルとの違いは?疑問にお答えします

みなさんも、「ビジネスモデル特許」ということばを聞いたことがあると思います。

「ビジネスモデル特許」で有名なのはAmazonの「ワンクリック特許」ですね。

Amazonの「ワンクリック特許」の技術により、オンラインショッピングサイトでの買い物の流れが劇的に変化しました。

みなさんは、Amazonで買物をする際に、買い物するたびに「名前や住所」「支払い方法」を入力していませんよね?

しかし、「ワンクリック特許」の技術が開発される以前は、Amazonを含めオンラインショッピングサイトで買い物をするとき、「名前や住所」「支払い方法」など必要事項を購入の都度入力しなければなりませんでした。

そこで、Amazonは、初回に必要事項を入力すれば、二回目以降はワンクリックするだけで、名前や住所、支払方法などの必要事項が反映されるシステムを開発しました。

これにより、Amazonのシステムでは従来のように買い物をするたびに必要事項を入力することなく買い物ができるようになり、Amazon自体の利便性を大きく向上させることとなりました。

もちろん、Anazonは他のオンラインショッピングサイトよりも高い利便性を示すこととなり、Amazonが大きく成長したことは言うまでもありません。

そして、Amazonは、このシステムの特許を取得したのです。

それがビジネスモデル特許として知られ、これを機に「ビジネスモデル特許」が大きく注目されることとなりました。

このAmazonの特許を見る限り、「ビジネスの仕組み」、すなわち「ビジネスモデル」そのものが特許になっている印象を受ける方も多いでしょう。

そのため、ビジネスモデル特許というと、すぐさま、Amazonのワンクリック特許を連想する方も多くいます。

しかしながら、近年では「ビジネスモデル」で特許を取得することは非常に稀なケースです。
では、「ビジネスモデル特許」はどのようなものなのでしょう。

そこで、今回は、「ビジネスモデル特許」と「ビジネスモデル」の違いについて分かりやすく解説します。

目次

ビジネスモデル特許とビジネスモデルの違いとは

ここでは、ビジネスモデル特許とビジネスモデルの違いについて解説します。

ビジネスモデルとは

ビジネスモデルは、ビジネスの仕組みや手法を示すことばです。

例えば、利益を得るための仕入れ方法や売却方法などの商売の仕組みはビジネスモデルになります。

また、経営の心得や営業の方法など、ビジネスマインドや手法に関するものもビジネスモデルになります。

このように、ビジネスモデルという概念自体は、昔からあったものです。

ビジネスモデル特許とビジネスモデルの違い

続いて、「ビジネスモデル特許」と「ビジネスモデル」の違いについて解説します。

先ほど述べたように、「ビジネスモデル」はあくまでビジネスの仕組みや手法です。

これに対し、「ビジネスモデル特許」は「ビジネスモデル」が「特許」として認められたものです。

どのような「特許」でも、それが「発明」である必要があるので、「ビジネスモデル特許」も「発明」を含むものでなければなりません。

「ビジネスモデル」も、その「仕組み」や「手法」を達成する「発明」があって、初めて「ビジネスモデル特許」となりうるのです。

そして、その「発明」も、特許法上で定義されており、その定義された「発明」に該当するものしか、特許を取得できません。

この「発明」は、「物」で構成されている必要があります。

そのため、「ビジネスモデル特許」には「ビジネスモデル」を達成するための「物」が存在しなくてはなりません。

「ビジネスモデル特許」の多くにおいて、ここで言う「物」が、主にインターネットに接続されるサーバー、PC、または装置などになっています。

つまり、インターネットに接続されるサーバー、PC、装置などを使って初めてビジネスモデル特許が成立しています。

言い換えると、物を使わず、人間だけが動く仕組みで新たなビジネスモデルを達成したとしても、ビジネスモデル特許にはなりません。

また、「ビジネスモデル特許」はあくまで「特許」であるため、「特許」となりえる「物」の部分には、「ビジネスモデル特許」以外の特許と同様に、「発明であること」以外にいくつか要件が求められます。

例えば、求められる要件は以下の通りです。

  • 発明であること
  • 産業上の利用可能性があること
  • 新規性があること
  • 進歩性があること
  • 先願であること
  • 公序良俗を害する発明でないこと

ビジネスモデル特許を検討する際に注目すべきポイント

ここでは、ビジネスモデル特許の出願(申請)などを検討する際に注目すべきポイントを解説します。

注目すべきポイントは以下の2つです。

  • ビジネスモデルやバリューチェーンが革新的かどうか?
  • ビジネスモデルのマネタイズポイントはどこか?

順番に解説します。

ビジネスモデルやバリューチェーンが革新的かどうか?

「ビジネスモデル特許」の出願(申請)などを検討する際に、まずは「発明」によって成り立つ「ビジネスモデル」が革新的であるかどうか検討することをおすすめします。

そして、その「ビジネスモデル」を構成する仕組み、例えば「バリューチェーン」が革新的であるかどうかの検討も必要です。

「ビジネスモデル特許」はビジネスモデルやバリューチェーンが革新的であることから「発明」にあたる「物」の部分にも革新的な側面があるハズです。

そのような革新的である「物」の部分に新規性や進歩性が認められ、革新的な「ビジネスモデル」自体と新規性や進歩性を有する発明にあたる「物」の両方が合わさってこそ「ビジネスモデル」が「特許」となりえます。

そのため、「ビジネスモデル」や「バリューチェーン」そのものが、革新的であるかどうか、さらには、「ビジネスモデル」や「バリューチェーン」を構成する「物」が革新的で新規性や進歩性があるかどうかは非常に重要なポイントです。

ビジネスモデルのマネタイズポイントはどこか?

「ビジネスモデル」や「バリューチェーン」のマネタイズポイントがどこなのかを検討することも重要です。

マネタイズポイントとは、そのビジネスのどこで利益を生み出すかということです。

「ビジネスモデル特許」は「発明」となる「物」の部分を特許により保護することでビジネスモデル全体を保護します。

そのため、「ビジネスモデル」の中で利益を生み出す「マネタイズポイント」に関する部分を保護し、ビジネスモデル全体を保護することが好ましいのは明らかです。

最近主流となっているサブスクリプションモデル、いわゆるサブスクモデルで解説します。

このビジネスモデルの場合、毎月課金という仕組みで利益を生み出す、すなわちマネタイズしており、ここがマネタイズポイントです。

つまり、マネタイズするためには、ユーザーをいかにして課金まで導くか、ユーザーに課金を継続させるかが重要です。

そのため、マネタイズのために重要になってくるのは、ユーザの最初の申込のハードルを如何に下げることだったり、ユーザの日々の利用しやすさだったりします。

具体的な例を挙げると、どのようなユーザーインターフェース(UI)にするか、どのようなユーザーエクスペリエンス(UX)を提供できるかが大きなマネタイズポイントとなります。

このUIやUXに「発明」があれば、マネタイズポイントを中心として「サブスクモデル」であるビジネスモデル全体を保護できることになります。

つまり、「ビジネスモデル特許」の出願(申請)などを検討する際には、マネタイズポイントを中心に技術を洗い出し、そこに発明があるかどうかを検討することをおすすめします。

このことは通常の特許にも言えることです。

「発明」である「物」の構成を洗い出す際、技術的な要件はもちろんのこと、利益を生むであろう構成などにも注目すべきです。

ビジネスモデル特許にしても、通常の特許にしても、特徴部分が1つしかないというのはむしろ稀なケースで、どちらの特許も、特徴部分が複数あります。

そのような場合に、「利益を生むマネタイズポイント」は、どの特徴で特許を取得するかという最適な指標です。

ビジネスモデル特許にしても通常の特許にしても、なんでも出願すればいいという訳ではなく、「利益を生むマネタイズポイント」を含むような出願にすることをおすすめします。

架空のビジネスモデル特許で解説

次に、これまで説明してきたことを架空のビジネスモデル特許を使って解説します。

架空のビジネスモデル特許「物流システム」の内容を以下の通りとします。

このビジネスモデル特許のビジネスモデルは、「倉庫から所定の物品をピックアップしてトラックなどの輸送手段に乗せて配送する」という一連の作業にAIを導入していることが特徴です。

このAIのアルゴリズムが、このビジネスモデルにおいて主要な役割を占めており、さらに、高い技術的特徴があるとします。

そして、その特徴は「渋滞情報や気象情報を取り込み、リアルタイムでルート組みをおこなうことが可能なこと」です。

なお、従来の物流システムは「渋滞」や「気象変化」が考慮されていない配送ルートを組んでおり、以下のような問題点があったとします。

  • 渋滞により、一日の配送時間が長くなることが多かった
  • 気象によっては物品が破損することもあり顧客からの苦情が多かった

すなわち、今回のビジネスモデルでは「交通渋滞や気象に左右されず一日の配送時間を一定の時間に収め、遅延も出さない」ことが可能となり、従来と比べて革新的なものとなります。

また、AIアルゴリズムに高い技術的特徴があることから、これらを合わせれば「ビジネスモデル特許」になりえることとなります。

言い換えると、ビジネスモデル自体は革新的であっても、AIアルゴリズムが既存のアルゴリズムを利用しているケースは、「ビジネスモデル特許」にはなりえません。

このように、「ビジネスモデル特許」の出願(申請)などを検討する際には、「ビジネスモデル」や「バリューチェーン」が革新的かどうか、また「発明」である「物」が存在し、技術的価値があるかどうかを確認することが重要です。

さらに、このビジネスモデルにおいては、以下のようなマネタイズポイントがあります。

  • 「遅延が起きない」ことから顧客満足度が高くなり、さらなる顧客が見込める
  • 「無駄なエネルギー利用を極力抑える」ことから輸送コストを抑えられる、企業イメージをアップできる

このマネタイズポイントに大きく寄与するのはAIアルゴリズムです。

すなわち、AIアルゴリズムを中心としたビジネスモデルで特許を取得できれば、マネタイズポイントを含んでビジネスモデル全体を保護できます。

このように、「ビジネスモデル特許」の出願(申請)などを検討する際には、ビジネスモデルのマネタイズポイントを洗い出し、マネタイズポイントに関わる「発明」を中心としたビジネスモデル特許を取得することが重要です。

まとめ

ビジネスモデル特許はビジネスモデルだけでは成り立ちません。

しかし、ビジネスモデルが革新的であれば、それを支える技術があるはずです。

ビジネスモデルを運用する前に、技術の洗い出しをおこなってみましょう。

そこにビジネスモデル全体を保護する「ビジネスモデル特許」の種があるかもしれません。

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